MOOS03  加速器技術(診断/制御1)  8月5日 シンポジオン会議室 10:50 - 11:10
ビーム位置測定に於ける三次モーメントの影響
Third-order moment effect of beam position measurements
 
○柳田 謙一,鈴木 伸介,出羽 英紀,花木 博文(公益財団法人高輝度光科学研究センター)
○Kenichi Yanagida, Shinsuke Suzuki, Hideki Dewa, Hirofumi Hanaki (Japan Synchrotron Radiation Research Institute)
 
昨年の加速器学会年会(PASJ9)に於いて、六電極BPMに於ける全体較正(Entire Calibration)の講演を行った。全体較正はビームの相対モーメントが変化しないと仮定し、ステアリング電磁石を用いてビームを上下左右に振り、得られたデータから各電極間のバランス係数(相対的減衰率)を算出するものである。昨年はバランス係数を算出するプログラムが未だに正常に動作しないと報告したが、その原因が判明した。原因は測定電圧差分に三次モーメント成分が無視できない程度に寄与していたためであった。SPring-8線型加速器の六電極BPMでは、上下の二電極及び左右の四電極を使用して、垂直方向ビーム位置が測定可能である。この2つの垂直方向ビーム位置が一致するようにプログラムを実行したが、正しいバランス係数は得られなかった。そこで、試しに三次絶対モーメントの寄与を含めてプログラムを実行すると問題無く、正しいバランス係数が得られた。三次モーメントの上下二電極及び左右四電極を使用した位置測定への寄与が逆符号であったため乖離が大きく、ブログラムが正常に動作しなかったのである。この三次モーメントの寄与は六電極のみならず、二電極や四電極を使用したビーム位置測定にも必ず出現するため考慮が必要である。